「街角の数学」が日本評論社から
出版されました
2019/4



著者  五輪教一・山﨑憲久
まえがき より
本書は,図形を愉しむ筆者(五輪+山﨑)の取り組みの一端を紹介するものです. 『街角の数学』の名で活動する五輪と『積み木インテリアギャラリー』を営む山﨑との二人三脚は,4年前の山﨑のメールから始まりました. 「日本の幾何の本を買いました.面白い問題がたくさんあって,冬籠りにはぴったりです」 「和算の問題は面白いですね!学習ノートを書きました」  これを機に,二人の図形談義が始まったのです.その一週間後,「郷土の和算家が素晴らしい問題を残していますね」と山﨑が送ってきたのが,第1話「家」で取り上げた問題でした.彼はその後,この問題を高次元に拡張することを思い付き,知人の助言を得ながら二人は大いにこの図を楽しみました.  山﨑はその後も次々と,職人の眼で「美しい」図を見つけ出しては,職人の勘で手を加えました.そうして得られた図を二人で研究し,より簡明な解法を考え出そうとメールのやり取りを続けたのです.  3回目の冬籠りとなった昨年のこと,山﨑が 「『三平方の定理だけで解く和算の名問集』なんて本があるといいですね.絵が美しくて,解法が美しくて,結果も意外性があって美しい,しかも易しい.そんな本を探していますが,まだ見つかっていません.洋算と比較して和算的な解き方の魅力を引き立てるような.庶民が参加できた理由なども知りたいですよね」  さあ大変,見つからなければ自分たちで書くしかありません.「図形の相似と三平方の定理だけ」という,身の丈に合った縛りを設けて,これまで取り上げた図形問題を基にまとめることになりました.こうして出来上がったのがこの本です.16の話の大半はGさんとYさんの対話からなりますが,これは筆者たちのメールのやり取りをアレンジしたものとお考えください.この二人三脚が,皆さんの図形を愉しむきっかけとなればうれしく思います.

16話 題図 一覧


16話はそれぞれ読みきりですので、気に入った図のある所から読み始めていただけます。合間に挟んだ伝統工芸に関するコラムもお楽しみください。
コラム題材 : 風車/パルテノン神殿/飛び石/丸窓/やじろべえ/六花/紋切形/北斎模様/刺し子/折り鶴/三つ編み

巻末には、和算書「異形同術」(山上光道 1843)に収められている32題の黄金比図形題が解説をつけて復刻されています。

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