菱田為吉の木彫多面体模型

Tamekichi Hishida was a teacher of mathematics about a hundred years ago.
His sculputures of stellated polyhedra and compounds
are at the highest pinnacle of wooden polyhedra models in Japan.


「多面体木工」をお送りした細矢治夫先生(御茶ノ水女子大名誉教授、パズル懇話会会長)から、東京理科大学近代科学資料館(東京、神楽坂)に木製の多面体模型が多数展示されていることを教えていただきました。
早速近くに住む佐藤先生の友人にお願いして写真を撮ってきていただきました。いただいた写真を見て、びっくり仰天!!そこには、まるで神業のような美しい世界が広がっていました。その一部をご覧ください。











これらの精緻で荘厳な多面体模型は、「小刀で木を精密に彫刻して作り出された一体物」(資料館解説)だそうです。
製作者の菱田為吉氏(日本画家の菱田春草氏の兄)は、明治から昭和初期にかけて教員をつとめるかたわら、「当時の先端数学理論を実践するため」(資料館、増田氏談)にこれらの模型制作にうちこんだとのことです。
当時は、電動丸鋸盤なんてありませんから、木片に墨付けをして、手引きの鋸で輪郭をとり、凹の部分を小刀で刻んでいったと推測されますが、私がいちばん感激したのは、正12面体と、正20面体と、菱形30面体の製作途上の木片が残されていることです。
これらをみますと、正12面体と正20面体は、多面体木工法のページで紹介したのと同じとり方で、立方体から切り出されたことがわかります。菱形30面体の作り方は、「多面体木工」83ページでふれた立方体表面に6つの菱形がのこるとみなす、もう一つの方法にあたります。






近代科学資料館では、常時47体の模型を展示しています。また、為吉氏の書いた図面や、論文も保存されているそうです。くわしくは、資料館まで、お問い合わせください。

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